volatile 型修飾子のサンプルコード

2024-04-02

C言語の揮発性型修飾子「volatile」

メモリアクセスに対する順序の保証

volatile修飾された変数へのアクセスは、プログラムの順序に従って実行されます。これは、コンパイラが変数の値をレジスタに保持したり、異なる順序でアクセスしたりすることを防ぎます。

外部からの変更の可能性を考慮

volatile修飾された変数は、プログラム以外の要因によって変更される可能性があることを示します。これは、マルチスレッド環境や割り込み処理など、複数のプログラムが同時にメモリにアクセスする状況で重要になります。

volatile型修飾子は、以下の状況で役立ちます。

  • マルチスレッド環境で共有される変数
  • 割り込み処理で使用する変数
  • ハードウェアデバイスのレジスタ
  • メモリマップドI/O
// マルチスレッド環境で共有される変数
volatile int shared_variable = 0;

// 割り込み処理で使用する変数
volatile bool interrupt_flag = false;

// ハードウェアデバイスのレジスタ
volatile uint8_t *port_address = 0x100;

// メモリマップドI/O
volatile uint32_t *memory_mapped_io = 0x200;

volatile型修飾子は、以下の点に注意する必要があります。

  • 不要な場所に使用すると、パフォーマンスの低下を招く
  • ポインタ変数に対して使用すると、複雑な意味を持つ
  • const修飾子と同時に使用することはできない

volatile型修飾子は、変数がコンパイル時に最適化されないことを保証し、メモリアクセスに対する順序と外部からの変更の可能性を考慮することができます。マルチスレッド環境や割り込み処理など、複数のプログラムが同時にメモリにアクセスする状況で役立ちます。



volatile型修飾子のサンプルコード

マルチスレッド環境で共有される変数

#include <pthread.h>

// 共有される変数
volatile int shared_variable = 0;

// スレッド1
void *thread1(void *arg) {
  shared_variable = 1;
  return NULL;
}

// スレッド2
void *thread2(void *arg) {
  while (shared_variable == 0) {
    // スレッド1がshared_variableを1に書き換えるまで待つ
  }
  // 共有変数が1になったことを処理
  return NULL;
}

int main() {
  pthread_t thread_id1, thread_id2;

  // スレッド1とスレッド2を起動
  pthread_create(&thread_id1, NULL, thread1, NULL);
  pthread_create(&thread_id2, NULL, thread2, NULL);

  // スレッド1とスレッド2の終了を待つ
  pthread_join(thread_id1, NULL);
  pthread_join(thread_id2, NULL);

  return 0;
}

割り込み処理で使用する変数

#include <avr/interrupt.h>

// 割り込みフラグ
volatile bool interrupt_flag = false;

// 割り込みハンドラ
ISR(TIMER1_COMPA_vect) {
  interrupt_flag = true;
}

int main() {
  // タイマー1の割り込みを有効にする
  TIMSK1 |= (1 << OCIE1A);

  // 割り込みフラグがtrueになるまで待つ
  while (!interrupt_flag) {
    // 何もしない
  }

  // 割り込みが発生したことを処理

  return 0;
}

このコードでは、interrupt_flag変数は割り込み処理で使用するフラグです。volatile修飾子を使用することで、コンパイラはinterrupt_flag変数の値をレジスタに保持したり、異なる順序でアクセスしたりすることができなくなります。

ハードウェアデバイスのレジスタ

#include <avr/io.h>

// ポートBの出力データレジスタ
volatile uint8_t *port_b_ddr = (volatile uint8_t *)0x25;

// ポートBの出力データレジスタに値を設定
void set_port_b(uint8_t value) {
  *port_b_ddr = value;
}

int main() {
  // ポートBの出力データレジスタに0xFFを設定
  set_port_b(0xFF);

  return 0;
}

このコードでは、port_b_ddr変数はポートBの出力データレジスタへのポインタです。volatile修飾子を使用することで、コンパイラはport_b_ddr変数

メモリマップドI/O

#include <sys/mman.h>

// メモリマップドI/Oデバイスへのポインタ
volatile uint32_t *memory_mapped_io = (volatile uint32_t *)mmap(NULL, 4096, PROT_READ | PROT_WRITE, MAP_SHARED, 0x10000000);

// メモリマップドI/Oデバイスに値を読み書き
void read_write_memory_mapped_io() {
  uint32_t value = *memory_mapped_io;
  *memory_mapped_io = value + 1;
}

int main() {
  // メモリマップドI/Oデバイスへのアクセスを初期化
  memory_mapped_io = mmap(NULL, 4096, PROT_READ | PROT_WRITE, MAP_SHARED, 0x10000000);

  // メモリマップドI/Oデバイスに値を読み書き
  read_write_memory_mapped_io();

  return 0;
}

このコードでは、memory_mapped_io変数はメモリマップドI/Oデバイスへのポインタです。volatile修飾子を使用することで、コンパイラはmemory_mapped_io変数



volatile型修飾子の代替方法

アトミック操作

C11以降では、atomic_intなどのアトミック型を使用することができます。アトミック型は、複数のスレッドから同時にアクセスしてもデータの破損を防ぐことができます。

#include <stdatomic.h>

// アトミック変数
atomic_int shared_variable = 0;

void thread1() {
  atomic_store(&shared_variable, 1);
}

void thread2() {
  while (atomic_load(&shared_variable) == 0) {
    // スレッド1がshared_variableを1に書き換えるまで待つ
  }
  // 共有変数が1になったことを処理
}

ロック

pthread_mutex_tなどのロックを使用することで、変数へのアクセスを排他制御することができます。

#include <pthread.h>

// 共有変数
int shared_variable = 0;

// ロック
pthread_mutex_t mutex = PTHREAD_MUTEX_INITIALIZER;

void thread1() {
  pthread_mutex_lock(&mutex);
  shared_variable = 1;
  pthread_mutex_unlock(&mutex);
}

void thread2() {
  pthread_mutex_lock(&mutex);
  while (shared_variable == 0) {
    // スレッド1がshared_variableを1に書き換えるまで待つ
  }
  // 共有変数が1になったことを処理
  pthread_mutex_unlock(&mutex);
}

メモリバリア

stdatomic_mb_syncなどのメモリバリアを使用することで、メモリアクセスに対する順序を制御することができます。

#include <stdatomic.h>

// 共有変数
int shared_variable = 0;

void thread1() {
  shared_variable = 1;
  atomic_thread_fence(memory_order_seq_cst);
}

void thread2() {
  atomic_thread_fence(memory_order_acquire);
  while (shared_variable == 0) {
    // スレッド1がshared_variableを1に書き換えるまで待つ
  }
  // 共有変数が1になったことを処理
}

これらの方法は、volatile型修飾子よりも安全で効率的な方法で変数へのアクセスを制御することができます。

volatile型修飾子は、変数がコンパイル時に最適化されないことを保証する便利な方法です。しかし、volatile型修飾子にはいくつかの注意点もあります。

他の方法を使用することで、volatile型修飾子の代わりに、より安全で効率的な方法で変数へのアクセスを制御することができます。