Pandas Series.mul の詳細解説
Pandas Series.mul の詳細解説
pandas.Series.mul
関数は、Pandas Series オブジェクト同士、または Series オブジェクトと スカラ値 を要素ごとに掛け算する操作を行います。これは、通常の Python の乗算演算子 *
と似ていますが、pandas.Series.mul
は、欠損値(NaN)の処理や、異なるインデックスを持つ Series オブジェクトの処理など、より多くの機能を提供します。
構文
Series.mul(other, level=None, fill_value=None, axis=0)
パラメータ
other
: かけられる値。Series オブジェクト、スカラ値、またはリストを受け取ることができます。level
: マルチインデックス Series を処理する場合に、掛け算を適用するレベルを指定します。fill_value
: 欠損値(NaN)を処理するために、other
に存在する欠損値を置き換える値を指定します。デフォルトはNone
です。axis
: 軸の指定。デフォルトは0
です。
戻り値
掛け算の結果を返す新しい Series
オブジェクトです。
詳細
pandas.Series.mul
は、要素ごとに掛け算を行うため、異なる長さの Series オブジェクト同士を掛け算することはできません。- 異なるインデックスを持つ Series オブジェクトを掛け算する場合、共通のインデックスを持つように事前に
reindex
またはjoin
などの操作で調整する必要があります。 fill_value
パラメータを使用して、欠損値(NaN)を処理することができます。デフォルトでは、欠損値は掛け算の結果にも欠損値として扱われます。level
パラメータは、マルチインデックス Series を処理する場合にのみ使用します。デフォルトでは、level=None
とし、すべてのレベルで掛け算が行われます。
例
例 1: Series オブジェクト同士の掛け算
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s1 = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
s2 = pd.Series([2, 3, 4, 5], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# Series オブジェクト同士の掛け算
result = s1.mul(s2)
print(result)
この例では、s1
と s2
という 2 つの Series オブジェクトを掛け算しています。結果は、各要素が s1
と s2
の対応する要素の積である新しい Series
オブジェクトになります。
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# Series オブジェクトとスカラ値の掛け算
result = s.mul(2)
print(result)
この例では、s
という Series オブジェクトをスカラ値 2
で掛け算しています。結果は、各要素が s
の要素と 2
の積である新しい Series
オブジェクトになります。
例 3: 欠損値の処理
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s1 = pd.Series([1, 2, 3, np.nan], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
s2 = pd.Series([2, np.nan, 4, 5], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# 欠損値を 0 で置き換えて掛け算
result = s1.mul(s2, fill_value=0)
print(result)
この例では、s1
と s2
という 2 つの Series オブジェクトを掛け算しています。fill_value
パラメータを 0
に設定することで、s1
と s2
のいずれかの要素が欠損値(NaN)であっても、結果の要素は 0 になります。
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s1 = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
s2 = pd.Series([2, 3, 4, 5], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# Series オブジェクト同士の掛け算
result = s1.mul(s2)
print(result)
出力:
a 2
b 6
c 12
d 20
dtype: int64
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# Series オブジェクトとスカラ値の掛け算
result = s.mul(2)
print(result)
a 2
b 4
c 6
d 8
dtype: int64
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s1 = pd.Series([1, 2, 3, np.nan], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
s2 = pd.Series([2, np.nan, 4, 5], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# 欠損値を 0 で置き換えて掛け算
result = s1.mul(s2, fill_value=0)
print(result)
a 2
b 0
c 12
d 5
dtype: int64
例 4: マルチインデックス Series の掛け算
import pandas as pd
# マルチインデックス Series の作成
index = pd.MultiIndex.from_tuples([('A', 1), ('A', 2), ('B', 1), ('B', 2)],
names=('letter', 'number'))
s1 = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=index)
s2 = pd.Series([2, 3, 4, 5], index=index)
# マルチインデックス Series の掛け算
result = s1.mul(s2, level='letter')
print(result)
letter number
A 1 2
2 6
B 1 8
2 20
dtype: int64
この例では、letter
と number
という 2 つのレベルを持つマルチインデックス Series を掛け算しています。level
パラメータを 'letter'
に設定することで、letter
レベルでのみ掛け算が行われます。
例 5: 異なるインデックスを持つ Series オブジェクトの掛け算
import pandas as pd
# 異なるインデックスを持つ Series オブジェクトの作成
s1 = pd.Series([1, 2, 3], index=['a', 'b', 'c'])
s2 = pd.Series([2, 3, 4], index=['b', 'c', 'd'])
# 異なるインデックスを持つ Series オブジェクトの掛け算
result = s1.mul(s2)
print(result)
b 6
c
Series オブジェクトをスカラ値で掛け算するには、*
演算子を使用できます。
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# スカラ値による掛け算
result = s * 2
print(result)
要素ごとの操作
Series オブジェクトの要素ごとに別の Series オブジェクトの要素を掛け算するには、apply
メソッドを使用できます。
import pandas as pd
# Series オブジェクトの作成
s1 = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
s2 = pd.Series([2, 3, 4, 5], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# 要素ごとの操作
def multiply(x, y):
return x * y
result = s1.apply(multiply, s2)
print(result)
NumPy 配列の利用
Series オブジェクトを NumPy 配列に変換してから、NumPy の乗算演算子 *
を使用して掛け算することもできます。
import pandas as pd
import numpy as np
# Series オブジェクトの作成
s = pd.Series([1, 2, 3, 4], index=['a', 'b', 'c', 'd'])
# NumPy 配列への変換
array = s.to_numpy()
# NumPy 配列の掛け算
result = array * 2
# Series オブジェクトへの変換
new_series = pd.Series(result, index=s.index)
print(new_series)
これらの方法は、それぞれ異なる状況で役立ちます。
- スカラ値による掛け算: 最もシンプルで、Series オブジェクト全体を同じスカラ値で掛け算する場合に適しています。
- 要素ごとの操作: Series オブジェクトの要素ごとに異なる計算を行う場合に適しています。
- NumPy 配列の利用: 高速な計算が必要な場合や、NumPy の他の機能と併用する場合に適しています。