PyTorch NN 関数における torch.nn.functional.upsample() の詳細解説
PyTorch NN 関数における torch.nn.functional.upsample()
の詳細解説
- 入力テンソルを指定したサイズにアップサンプリングします。
- アップサンプリング方法は、最近傍差補間と双線形補間の2種類から選択できます。
- チャンネル次元の方向には影響を与えません。
引数
input
: アップサンプリング対象のテンソルsize
: 出力テンソルの空間サイズ。高さ方向と幅方向のサイズをタプルで指定します。(例:(256, 256)
)scale_factor
: スケールファクタ。入力テンソルのサイズを何倍に拡大するかを指定します。(例:2.0
)mode
: アップサンプリング方法。"nearest" または "bilinear" から選択します。デフォルトは "nearest" です。align_corners
: 出力テンソルのコーナーの処理方法。"true" の場合、コーナーピクセルを補間します。"false" の場合、コーナーピクセルをそのまま保持します。デフォルトは "false" です。
戻り値
アップサンプリングされたテンソル
例
import torch
import torch.nn.functional as F
input = torch.randn(1, 32, 100, 100) # 入力テンソル (バッチサイズ, チャネル数, 高さ, 幅)
output = F.upsample(input, size=(200, 200), mode='bilinear') # 双線形補間で2倍にアップサンプリング
print(output.shape) # 出力テンソルの形状 (1, 32, 200, 200)
torch.nn.functional.upsample()
は、PyTorch 1.11以降で非推奨となりました。代わりにF.interpolate()
関数を使用することを推奨します。機能的には同等ですが、F.interpolate()
の方が柔軟性が高く、より多くのアップサンプリング方法に対応しています。- アップサンプリングによって、画像の情報量は増えませんが、空間解像度は向上します。
torch.nn.functional.upsample()
を用いた画像のアップサンプリング例
import torch
import torch.nn.functional as F
import matplotlib.pyplot as plt
# サンプル画像の読み込み
image = plt.imread("sample.png") # サンプル画像を "sample.png" から読み込み
image = torch.from_numpy(image).float().permute(2, 0, 1) # NumPy配列をPyTorchテンソルに変換し、チャネル次元を先頭に移動
# アップサンプリング
upsampled_image = F.upsample(image[None], size=(image.shape[1] * 2, image.shape[2] * 2), mode='bilinear')
# アップサンプリングされた画像の表示
plt.imshow(upsampled_image[0].permute(1, 2, 0).numpy()) # チャネル次元を元の位置に戻し、NumPy配列に変換して表示
plt.show()
解説
torch.imread()
でサンプル画像を読み込み、torch.from_numpy()
とpermute()
を使って PyTorch テンソルに変換します。このとき、チャネル次元を (高さ, 幅, チャネル) から (チャネル, 高さ, 幅) に変換します。F.upsample()
を使ってアップサンプリングを実行します。size
引数で出力画像のサイズを指定し、mode
引数で補間方法を "bilinear" に設定します。- アップサンプリングされた画像を
plt.imshow()
で表示します。
ポイント
- 画像処理ライブラリによっては、
torch.nn.functional.upsample()
と同等の機能を持つ関数を提供している場合があります。
応用例
- 画像の前処理: 画像を CNN に入力する前に、必要な解像度にアップサンプリングします。
- 超解像度画像復元: 低解像度の画像をアップサンプリングして、高解像度の画像を生成します。
- 画像生成: ランダムノイズから高解像度の画像を生成する際に、中間的な生成結果をアップサンプリングします。
torch.nn.functional.upsample()
の代替方法
F.interpolate() 関数
F.interpolate()
関数は、torch.nn.functional.upsample()
と同等の機能を提供し、より多くのアップサンプリング方法に対応しています。
import torch
import torch.nn.functional as F
input = torch.randn(1, 32, 100, 100)
output = F.interpolate(input, size=(200, 200), mode='bilinear', align_corners=False)
print(output.shape) # (1, 32, 200, 200)
nn.Upsample モジュール
nn.Upsample
モジュールは、torch.nn
モジュールに含まれるアップサンプリング用モジュールです。F.interpolate()
関数よりも柔軟な設定が可能ですが、古いバージョンの PyTorch では利用できません。
import torch
from torch import nn
input = torch.randn(1, 32, 100, 100)
upsample = nn.Upsample(scale_factor=2, mode='bilinear', align_corners=False)
output = upsample(input)
print(output.shape) # (1, 32, 200, 200)
第三者ライブラリ
OpenCV
: 高性能な画像処理機能を提供するライブラリです。様々なアップサンプリングアルゴリズムを実装しています。scikit-image
: 画像処理用のオープンソースライブラリです。skimage.transform.resize()
関数などでアップサンプリングを実行できます。
選択の指針
- シンプルで使いやすい:
F.interpolate()
関数 - 柔軟な設定が必要:
nn.Upsample
モジュール - 高性能なアップサンプリングアルゴリズムが必要: 第三者ライブラリ