居酒屋で語るFHEVM:ソフトウェアエンジニアが知るべき理由と使い方
ブロックチェーンは、データが公開され、誰でも閲覧できるという透明性が特徴です。これは良い面もありますが、機密性の高いデータを扱う際には大きな課題となります。例えば、医療情報や金融取引など、プライベートな情報を含むスマートコントラクトを構築する場合、そのままではプライバシーが丸見えになってしまいます。
FHEVMは、この問題を解決します。FHEを使うと、暗号化されたデータを復号化することなく計算できるんです。つまり、ブロックチェーン上に暗号化されたデータを保存し、そのデータを元にした計算をスマートコントラクトで行っても、データの中身は誰にも分からないままなんです。
この技術を使うと、以下のような応用が考えられます。
プライベートな投票システム
投票内容を暗号化したまま集計し、不正がないことを証明できます。
機密性の高い金融取引
貸付の信用スコア計算など、個人のプライバシーに関わる情報を非公開のまま行えます。
プライベートなオークション
入札額を暗号化したまま比較し、最高額を決定できます。
FHEVMは、基本的に既存のEthereum開発環境に統合する形で使います。
FHEVM互換ノードのセットアップ
まず、FHEVMをサポートするブロックチェーンノードを立てる必要があります。これは通常、FHEVMのGitHubリポジトリから提供されるDockerイメージを使うのが一番簡単です。
Solidityでのコントラクト開発
次に、Solidityを使ってスマートコントラクトを書きます。通常のSolidityに加えて、FHEVM特有の暗号化された型(euint8, euint16など)を使います。
FHEVMコンパイラでのコンパイル
通常のSolidityコンパイラではなく、FHEVMのコンパイラを使ってコントラクトをコンパイルします。これにより、FHEVM特有の命令が組み込まれます。
デプロイ
コンパイルしたコントラクトを、セットアップしたFHEVMノードにデプロイします。
FHEVMを使うと、暗号化された変数を宣言できます。下の例では、2つの暗号化されたeuint8(8ビットの符号なし整数)を足し算しています。
// SPDX-License-Identifier: MIT
pragma solidity ^0.8.17;
// FHEVM特有のインポート
import "fhevm/lib/TFHE.sol";
contract FHEExample {
// 暗号化されたpublic変数
euint8 public encryptedResult;
// 暗号化された2つの整数を受け取って足し算する関数
function add(euint8 a, euint8 b) public {
// 暗号化されたまま足し算を実行
encryptedResult = TFHE.add(a, b);
}
// 計算結果を取得する関数(暗号化されたまま)
function getEncryptedResult() public view returns (euint8) {
return encryptedResult;
}
}
このコードのポイントは、euint8というFHEVM独自の型と、TFHE.addという専用の関数を使っているところです。これにより、aとbが暗号化されたままでも足し算が実行できるんです。
「いやー、このFHEVMってやつはさ、ブロックチェーンの世界を変えるかもしんないね。今までは、誰かに見られたくないデータはチェーンに乗せられなかったけど、これがあれば暗号化したまま計算できるんだってよ。
ホントに魔法みたいだよね。例えば、お客さんの個人情報を守りつつ、その情報を使ってマーケティングの分析をしたりとかさ。あとは、オンラインのくじ引きとかも、誰にも操作されてないって証明しつつ、当選者だけが自分の結果を見られるようにできる。
もちろん、まだ生まれたての技術だから、パフォーマンスの問題とか、学習コストとか課題はたくさんあるけど、プライバシーと透明性を両立させるって、これからのデジタル社会には絶対必要になると思うんだ。